どうして芍薬甘草湯はこむら返りに効くの?

どうして芍薬甘草湯はこむら返りに効くの?

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8月17日(火曜日)

皆さんは芍薬甘草湯という漢方をご存知でしょうか。芍薬甘草湯はこむら返り…所謂足がつるのを抑えたり改善するお薬として使われます。そもそも、こむら返りとは何故起こるのか、それは筋肉が異常に収縮する事が原因で起きます。芍薬甘草湯は筋肉を弛緩させる効能があり、その効果によって症状を改善しているのです。

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では芍薬甘草湯はどうやって筋肉を弛緩させているのでしょうか。筋肉を弛緩させるにはアセチルコリン(Ach)と呼ばれる生体内物質が細胞に結合する必要があります。芍薬甘草湯はこのAchを筋細胞に結合させ、筋肉を弛緩させる効果があるのです。今回はどのような機序で弛緩させているのか説明したいと思います。

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通常時の細胞

まず細胞(青いエリア)にCaイオンが流入し、Caはホスホリパーゼを介して細胞内のKイオン濃度を下げます。Kイオンが出ていく事で細胞内(青いエリア)の陽イオン濃度のバランスを保っています。また、アセチルコリン(Ach)が受容体にくっつくと細胞は弛緩し、同時にNaイオンが細胞(青いエリア)に入ります。

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芍薬甘草湯を服用した時(初期段階)

最初にぺオニフロリンという芍薬に含まれる成分が細胞内(青いエリア)のCaイオン濃度を減少させます。Caはホスホリパーゼを介して細胞内のK濃度を下げますが芍薬甘草湯を服用している場合はグリチルリジン酸という甘草に含まれる成分がKイオンの排泄を行います。結果、細胞内(青いエリア)の陽イオン濃度は減少します。

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芍薬甘草湯を服用した時(最終段階)

細胞内の陽イオン濃度が低下する為、代償的にアセチルコリン(Ach)を細胞に結合させる事でNaイオンを細胞内に流入させます。これにより細胞内の陽イオンのバランスを維持するのですがアセチルコリン(Ach)が受容体に結合する為、筋細胞は弛緩します。これが芍薬甘草湯による筋弛緩作用のメカニズムだと言われています。

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このように、芍薬甘草湯の筋弛緩作用は芍薬のぺオニフロリンと甘草のグリチルリジン酸が一緒に働く事で起きているのです。

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最後に…

芍薬甘草湯は効能が素早く強く出る素晴らしい漢方ですが摂取しすぎると偽アルドステロン症と呼ばれる副作用が起きる事もわかっています。こむら返りは水分不足やストレッチ不足で起きる事もあるので初めから漢方に頼らず日常的に私生活にも気を配れると良いと思います。

 

参考文献 https://www.kampo-s.jp/study/ryouiki_shikkan/kfs/011.htm