初のGLP-1作動薬の飲み薬、リベルサス

初のGLP-1作動薬の飲み薬、リベルサス

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4月6日(水曜日)

今日はリベルサスという糖尿病薬の新薬について紹介したいと思います。

リベルサスには画期的なポイントがあります。それは経口投与(飲み薬に)できる所です。リベルサスが当てはまるGLP-1作動薬は従来注射製剤として用いられてきました。

GLP-1作動薬はタンパク質で出来ており、胃酸で破壊されてしまう事と分子量が大きい為、吸収が難しく、注射剤として用いられてきました。しかしリベルサスは飲み薬として服用する事が可能です。リベルサスにはSNAC(サルカプロザートナトリウム)と呼ばれる添加物が含まれており、これが経口投与を可能にしています。

リベルサス添付文書より引用

【経口投与】ペプチドをベースとするセマグルチドは、分子量が大きいことから、消化管での透過性が低く、また、胃の分解酵素により分解されてしまうため、経口投与は適していなかった。しかし、吸収促進剤であるSNAC300mgを製剤に含有することにより経口投与が実現した。SNACを含有する経口セマグルチド(製品名:リベルサス®錠)は、1日1回投与により定常状態での曝露量の変動を抑えることができる。
本剤の崩壊は、セマグルチドが主に吸収される胃内で起こる。吸収は錠剤表面の周辺部に限定されている。セマグルチドの吸収にはSNACとの製剤化が必要である。SNACの局所でのpH緩衝作用により、セマグルチドの急速な酵素的分解を防ぐことができる。吸収促進作用は一時的かつ可逆的である。吸収のメカニズムとして経細胞吸収によることが示されており、脂質膜を流動化することと、セマグルチドの自己会合を間接的に弱めモノマー化を促進することが確認されている。

上記の内容を噛み砕いて説明すると、「リベルサスの有効成分は飲み薬に薬にする事が難しかったがSNACを一緒にする事によって弱点を克服した」との事です。具体的にはSNACが胃酸を弱める事でリベルサスの破壊を最小限にし、リベルサス同士を小さく分離し細胞に隙間を作る事で吸収率を高めたとの事です。

しかしリベルサスには注意して欲しいポイントがあります。それは服用の仕方です。

胃酸の影響を最小限にする為に起床時(空腹時)に服用する事やSNACの効果を最大限高める為に錠剤を割ったり砕いたりしない事、沢山の水や服薬ゼリーで服用しない事です。

以上の様に注意点もありますがリベルサスは注射で投与しなくても良い初のGLP-1作動薬として画期的な新薬です。今後はこの様な飲み薬が増えていくかもしれませんね。